地下格闘技のカリスマが起こした“事件”とは?
引用元:News ポストセブン
「BreakingDown(ブレイキングダウン)」の人気選手・サップ西成。
その鋭い眼光と独特のオーラ、そして何よりも「大阪最強の元半グレ」という異色の経歴が注目を集め、SNSでは常に話題の中心人物だ。
彼が近年出版した自伝『サップ西成自伝 奪還』には、衝撃的な過去が赤裸々に綴られている。
特に波紋を呼んだのが、2013年の**「前田日明襲撃事件」**の詳細だ。
この記事では、サップ西成自身の言葉とともに事件の真相を振り返りながら、ブレイキングダウンとの関わりや関連選手についても掘り下げていく。
「THE OUTSIDER」乱入事件の真相
事件が起きたのは2013年9月8日、大阪市中央体育館。
当日開催されていた格闘技イベント「THE OUTSIDER 第27戦」には、のちにBreakingDownで名を上げる選手たち――朝倉海、啓之輔、金太郎らが参戦していた。
その会場に、突如サップ西成とその仲間たちが乱入。
リング上で勝者を讃えていた前田日明氏に向かって、怒号を飛ばしながら詰め寄った。
「前田来い、コラッ!」
この挑発に、会場は一瞬で混乱の渦に。前田氏は関係者に守られ、控室へ退避する事態となる。
サップ西成はそのままリングサイドに居座り、
「前田を呼んでこい」
と主張を続けた。
決死の対面と“黒い疑い”
1時間にわたる睨み合いの末、仲裁に入ったのが、かつて総合格闘技界で名を馳せたエンセン井上と、「最強のレフェリー」として知られる和田良覚氏。
サップ西成と前田氏は、複数人の立ち会いのもとで控室内で直接対峙することとなった。
対面の場では、サップが机を蹴り飛ばしながらこう迫った。
「今すぐサシでするのか、詫び入れるのか決めろ」
前田氏は冷静に言葉を返す。
「君たち、クロだろ?」
“クロ”とは反社会的勢力とのつながりを意味する言葉。
これに対し、サップ西成は強く否定した。
「面倒見てもらってるわけでも、金を払ってるわけでもない」
疑念と否定の押し問答の末、前田氏は最終的にこう述べる。
「サップの言うことはわかった。誤解してた。すまん。また声をかけるわ」
最後は握手で別れた両者だが、事件はそれで終わらなかった。
握手の裏で動いていた「警察の捜査」
会場にはすでに警察が到着しており、運営側は被害届を提出。
この時点で、警察はすでに「サップ西成=組織の一員」という見立てを立てていたとされる。
その裏には、サップが主宰していた格闘技団体「X」に対する“X狩り”と呼ばれる警察の動きもあった。
襲撃事件から3週間後の9月29日、サップは「日本統一下剋上 WARU頂上決戦」で引退試合に出場。
その会場にも警察は来ていたものの、逮捕はされなかった。
彼自身も、
「なんで逮捕されないんですか」
と不思議に感じるほどだったという。
「組織の影」を疑う警察、時間をかけた捜査
結局、警察が逮捕に踏み切らなかったのは、「事件の背後」にある関係を調べていたためと見られている。
しかし、警察がどれだけ掘っても“黒い関係”は出てこなかった。
最終的に事件は、組織ではなく個人の粗暴犯行として処理されることになる。
ブレイキングダウンに繋がる因縁と再出発
この“襲撃事件”から10年。
サップ西成は現在、BreakingDownの選手として多くのファンに知られる存在となった。
彼の過去は決して清廉ではない。だが、その過去を包み隠さず語り、乗り越えたからこそ、今のキャリアがある。
彼と因縁のあった前田日明氏が創設したTHE OUTSIDERからも、今やBreakingDownで活躍する選手たちが多数輩出されている。
関連選手紹介:事件を間接的に彩った面々
朝倉海(あさくら・かい)
引用元:Instagramアカウント:朝倉 海 Kai Asakura
「THE OUTSIDER」出身の実力派。RIZINの主力選手としても活躍し、BreakingDownには審査員・プロデューサーとして関与。
今回の事件当時も同大会に出場していた。
啓之輔(けいのすけ)
引用元: X 啓之輔 keinosuke
アウトサイダー出身のストライカーで、BreakingDownでは独特の存在感を放つ。
サップ西成とも顔を合わせる機会が多く、同じ空間で戦ってきた「戦友」でもある。
金太郎
現在はRIZINファイターとしても活躍中。THE OUTSIDERから這い上がってきた一人であり、サップ西成と同じ時代の荒波を生き抜いてきたファイター。
エンセン井上
直接の選手ではないが、格闘技界全体への貢献度は計り知れない存在。
この事件でサップと前田の仲介役を務め、今なお多くの選手から“兄貴分”として慕われている。
暴力から再生へ──サップ西成の現在地
サップ西成は現在、BreakingDownで選手として戦うだけでなく、後進の育成やイベント運営にも携わっている。
一度は“事件の主役”となった男が、いまや“リングの模範”として存在しているのは、ある意味で格闘技という舞台の持つ再生力そのものを象徴している。
結論:過去を乗り越えた男が見せる“次の一手”
ブレイキングダウンは単なる格闘技イベントではない。
そこには、過去を持つ者たちがもう一度「人生を闘う」ための舞台がある。
サップ西成はその象徴的存在だ。
10年前、暴力に身を任せていた男が、今は“暴力を超えた場所”で戦っている。
それが今、多くの若者に届いている。